【スタンド考察】アレッシーの「セト神」の若返りを考察する!細胞の初期化とリプログラミング ジョジョ3部 スターダストクルセイダース

セト神/Set

ジョジョの奇妙な冒険スターダストクルセイダースに登場する、アレッシーとそのスタンド「セト神」。
一見すると「影に触れた相手を若返らせる」というシンプルな能力だが、そのプロセスを物理的・生物学的な視点で紐解くと、驚くべきメカニズムが見えてくる。
本記事では、セト神の能力を単なる「若返り」ではなく、「肉体と魂の強制的な初期化」と定義し、理系的なアプローチで徹底考察する。

破壊力:D
スピード:D
射程距離:E
持続力:C
精密動作性:D
成長性:D

アレッシーのセト神
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セト神(Set)
セト神のスタンドパラメータ

本体名:アレッシー(Alessi)
アレッシー

若返らせる影のスタンド

破壊力:D
スピード:D
射程距離:E
持続力:C
精密動作性:D
成長性:D



古代エジプト神話における「セト神」の暗示のスタンド。
「セト神」は暴力と破壊の神であり、敵役としての役割を持つ。

セト神はゲスな変態敵キャラとして登場するアレッシーの、隠された凶暴性を暗示していると言える。
本体の名前の由来はアメリカの双子のロックポップシンガー、アレッシー・ブラザーズ(Alessi Brothers)から。







能力は「影に触れた相手を若返らせ、無力化する」。

セト神は、本体アレッシーの影と一体化した「能力顕現型スタンド」だ。
タカの顔を持つ筋骨隆々な人型のシルエットをしており、影という二次元の存在でありながら、クッキリとした目を持つ。

質量のある影の操作

基本的に影は本体の動作に従うものだが、セト神はアレッシーの動きをトレースすることなく自在に動作が可能だ。数メートル程度であれば影を伸ばすこともできる。

特筆すべきは、影の一部を一時的に「立体化」できる点だ。アレッシーが斧を持てば、セト神も影の斧を持つ。さらに影の腕を立体化させ、物理的な攻撃を行う描写もある。

影の斧を装備するセト神

ただし、二次元から三次元への干渉はエネルギー消費が激しいのか、基本的にはアレッシー自身が武器で攻撃するスタイルを取る。
これはスタンドのエネルギー効率の観点からも理にかなっている。

セト神は影のような二次元の存在であるが、目だけはくっきりと存在している。

そして、本体のアレッシーから数メートル程度は伸ばすことが可能。
また、影のスタンドとはいえ本体の動きをトレースすることなく自在に動かせる。

影に潜むセト神

若返りの能力

セト神に人間の影が重なると、その人物は若返る。
この若返りは元気になる、溌剌としたエネルギッシュになるという意味ではなく、アレッシーが勝てそうなくらいの子供にまで若返る、という意味である。

一瞬、影が交わるだけで、作中でも20代のポルナレフが10歳程度にまで身体が縮み、若返った。
肉体の若返りとともに記憶や経験、スタンド能力までその年齢相応になってしまう。

影と影が交わると能力発動

スタンド攻撃に抵抗力のあるスタンド使いでも、数回の交差で3,4歳程度まで若返ってしまうため、スタンドに覚醒するより前に若返った場合、スタンドすら使えなくなってしまう。
作中でも承太郎が幼児にまで若返り、スタープラチナを使えない状態にされた。

さらに、一般人の影が数秒セト神と重なってしまった場合、その人物は胎児にまで戻されてしまうだろう。
この場合、母親のお腹の中にいないのですぐに死んでしまうことになる。

弱いものいじめるのが好きなど畜生


セト神は射程距離数メートルであるが、幼児化させた際の能力の射程距離は100メートルはいかない程度で、アレッシーが気絶した場合も能力は解かれてしまう。





肉体と魂の初期化

能力の本質は「標的の影から侵入し、対象の肉体と魂を徐々に初期化させる」。

セト神の能力をより分析し、考察する。

エネルギーの吸引と核の分離

セト神は、光を吸収するブラックホールのように、精神と生命エネルギーを吸引する「二次元の穴」であると考えられる。

人間の影がセト神に重なると、そこを「影の通路(ゲート)」として、セト神の持つ混沌としたドス黒いエネルギーが対象に注ぎ込まれる。
このエネルギー干渉により、対象の「エネルギーの核」にあたる部分が分離され、影へと吸い込まれてしまうのだ。

肉体と魂の初期化

核を取り除かれた細胞はどうなるか。
現代の生物学で言うところの「iPS細胞」のように、体細胞が胚細胞へと初期化(リプログラミング)される現象に近いことが体内で起きていると推測できる。
人間にとって、生命エネルギーと魂の最も「外側」にあるものは、成熟した肉体、直近の記憶、そして精神の成長だ。

子供ポルナレフ

セト神はこれらを剥ぎ取り、エネルギーとして吸収する。
その結果、残された肉体と魂は、分化する前の「子供の状態」へと強制的に戻されてしまうのである。

スタンド能力の消失

セト神の若返りは細胞や精神を未分化の状態に戻していくものである。
これにより承太郎はスタンド能力に目覚める前の年齢に戻されてしまい、一時的にスタンド能力を焼失した。

またポルナレフは幼少期からスタンドは使えたために、シルバーチャリオッツを封印されることはなかったが、子供の精神力のため非常に弱体化してしまった。

本体が子供になるとスタンドも相応になってしまう

これは、「魂の器」に刻まれた精神の成長紋様が初期化されたためだ。記憶が薄れ、精神の形が未熟になることで、スタンドというヴィジョンを維持できなくなるのである。
ただし、これはアレッシーによる「強制的な分離と初期化」であるため、能力が解除(アレッシーが気絶など)されれば、復元力が働き、瞬時に元の状態へと戻る。



能力の射程と危険性:胎児への退行

セト神の恐ろしさは、その「初期化」の速度にある。
  • ポルナレフの事例:一瞬影が交差しただけで、20代から10歳程度まで肉体が縮小した。
  • 承太郎の事例:数回の交差で幼児化し、スタープラチナの発現すら不可能になった。
  • 一般人の事例:スタンド使いでない一般人が数秒間影に触れ続けた場合、「胎児」あるいは「受精卵」レベルまで戻される危険性が高い。母胎という生存環境がない場所で胎児化すれば、それは即ち「死」を意味する。
アレッシーの射程距離自体は短いが、一度若返らせてしまえば、対象が100メートル程度離れても効果は持続する。
しかし、アレッシー自身が気絶すると能力が解除される点は、精神干渉系スタンドの共通弱点と言える。



思考実験:セト神 vs ザ・グレイトフル・デッド

ジョジョファンの間で頻繁に議論されるテーマがある。

アレッシーの「若返らせるセト神」とプロシュート兄貴の「老化させるザ・グレイトフル・デッド」が同時に攻撃したらどうなるか?

当ブログの結論は、「老化した赤ん坊が生まれる」である。

なぜなら、両者の能力のベクトルが異なるからだ。
  • ザ・グレイトフル・デッド:細胞の代謝を極限まで早める「擬似的な老化」。
  • セト神:細胞と魂を未分化の状態に戻す「初期化」。
セト神は単に時間を巻き戻しているわけではない。「大人→子供→胎児」というプロセスは、細胞の分化を遡る行為だ。

したがって、この二つの能力が衝突した場合、「細胞の分化レベルは胎児まで初期化(セト神の効果)」されつつ、「細胞の質自体は老化・劣化している(グレイトフル・デッドの効果)」という、極めてグロテスクな状態、「老いた赤ん坊」が出来上がると推測される。



「影」の象徴性とアレッシーの精神構造

最後に、このスタンドが発現したアレッシーという男の精神性を分析する。

精神の死角としての「影」

ジョジョの世界において、「影」はしばしば「精神の死角」や「もう一人の自分」を意味する。
ブラック・サバス』や『シルバーチャリオッツ・レクイエム』、『取り立て人マリリン・マンソン』のように、影はスタンド攻撃の侵入経路として利用されることが多い。

セト神は、まさにこの「無防備な精神の裏口」を直接攻撃する能力だ。

38歳の幼児性

アレッシーは38歳という分別ある年齢でありながら、強い者にはへつらい、弱い者(子供)だけを徹底的にいたぶるという歪んだ精神を持つ。

「自分が上位に立ちたい、しかし努力はしたくない」という不健全な願望。
これが具現化したのがセト神だ。

相手を弱体化させ、自分より下の存在に引きずり下ろすことでしか安心できない。
セト神の能力は、アレッシー自身の「成長を拒否した幼い精神」の鏡写しと言えるだろう。

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DIOの「天国」へのヒント?

興味深いことに、DIOはこのアレッシーを配下に置いていた。

DIOは後に「天国」へ至る方法として魂の研究を行うが、セト神の「魂を巻き戻す」という能力は、魂の加工やエネルギー化の可能性をDIOに示唆したのではないだろうか。

凶悪な犯罪者の魂ほど強力なエネルギーを持つこと、そして魂を操作できること。
アレッシーの存在は、DIOの探究心に少なからず影響を与えた可能性がある。


まとめ

アレッシーのセト神は、単なる若返り能力ではない。

それは「対象の魂と肉体を強制的に、未分化状態へリプログラミングする」という、極めて高度かつ物理的な干渉能力である。

その背景には、アレッシーという男のコンプレックスと、ジョジョ世界における「影と魂」の密接な関係が存在しているのだ。


出典:荒木飛呂彦原作 集英社出版 ジョジョの奇妙な冒険

2019/08/03投稿

2025/12/14修正

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