【スタンド考察】並行世界DioのTHE WORLD(俺だけの時間だぜ)を解説! ジョジョ7部 スティール・ボール・ラン
THE WORLD/ザ・ワールド
ジョジョの奇妙な冒険 第7部『スティール・ボール・ラン(SBR)』の終盤、読者を熱狂の渦に巻き込んだ存在がいる。ファニー・ヴァレンタイン大統領によって隣の世界から基本世界に呼び込まれたDio(ディエゴ・ブランドー)と、そのスタンド「THE WORLD」だ。
本記事では、この並行世界のDioが操るTHE WORLDの能力を、表面的な「時止め」としてだけでなく、本体の精神性から深く考察していく。
破壊力:A
スピード:A
射程距離:C
持続力:A
精密動作性:B
成長性:B
THE WORLD
本体名:Dio 並行世界のディエゴ・ブランドー(Diego Brando)
1. DioのTHE WORLDの概要と作中の活躍
破壊力:A
スピード:A
射程距離:C
持続力:A
精密動作性:B
成長性:B
ジョジョ7部、SBRにてヴァレンタイン大統領によって隣の世界から基本世界に呼び込まれたDioのスタンド。
スタンドの元ネタはもちろん、あの第3部DIOのセルフオマージュから。
本体名の元ネタは、アメリカのハードロック・ミュージシャン、ロニー・ジェイムズ・ディオ(Ronnie James Dio)の結成したロックバンド、DIOから。
大型の体躯を持ち、マスクをかぶっているような人型のスタンド像をもつ近距離パワー型スタンド。
第3部のザ・ワールドの姿と比べるとやや華奢となっており、デザインも細かなところで異なっている。
SBRでは珍しい近距離パワー型、人型のスタンド像を持つ。
「時を5秒間止める」能力とクレバーな戦闘術
能力は「時を5秒間止める」ことである。
止まった時の中における5秒間は、完全にDio自身の主観時間で決まっている。この静止した時間の世界では、あらゆる物理法則が停止する。銃撃も、タスクの爪弾も空中で静止し、疾走する乗馬も慣性の法則を無視してピタリと止まるのだ。
止まった時間の中でDio自身と「Dioが触れているもの」だけは自由に動かすことができ、愛馬シルバーバレットと共に移動しながらジョニィ・ジョースターを追い詰めた。
ここで特筆すべきは、彼の戦闘スタイルである。第3部のDIOは吸血鬼としての超常的なパワーと再生力を持っていたが、第7部のDioはあくまで普通の人間だ。そのため、THE WORLDを用いて時を止めても「無駄無駄ラッシュ」による肉弾戦は行わない。代わりに、時を止めた空間でワイヤーを張り巡らせたり、ガソリンを浴びせて発火させたりと、道具を用いた極めてクレバーかつ厄介な攻撃を繰り出している。
吸血鬼の肉体がない分、純粋な破壊力では第3部に見劣りするかもしれない。しかし、それでも「時止め」は圧倒的だ。この絶対停止の空間に入門できるのは、タスクACT4が放つ「無限の回転エネルギー」のみである。
なぜ恐竜(スケアリーモンスターズ)ではないのか?
そもそも、基本世界にいたDioがスケアリーモンスターズの能力を得たのは、「聖なる遺体の左眼球」を手に入れたことでフェルディナンド教授の能力を「奪い」、自身に定着させたからである。
遺体は基本世界にしか存在しないが、スタンド能力という概念自体は隣の世界にも存在する。つまり、遺体との接触によるスタンド強奪が起きなかった隣の世界のDioは、生来の才能(第3部DIOと同様の素質)によって、本来発現するはずだった「THE WORLD」に覚醒していたのだ。彼はおそらく、隣の世界のSBRレースにおいてこの能力でぶっちぎりの勝利を収めていたことだろう。
2. 考察:Dioだけの世界
時を止める事象自体はスタープラチナ ザ・ワールドや第3部のザ・ワールドと同じだが、この二つのスタンドも原理が異なるように、THE WORLDも時止めに至る根本の原理が異なると推測される。
並行世界DioのTHE WORLDの真の能力は、一言で表すなら「時空を5秒だけ奪う」能力である。
第3部DIOのザ・ワールドは、「世界」そのものを支配する能力だった。「恐怖」や「因縁」を超越して「支配して勝利する」ことを至上命題としたDIOの精神は、宇宙全体の時間の歯車を物理的に押さえつけ、世界のルールを逸脱する(時間という次元から離脱する)形で発現した。
対して、第7部のDioは第1部ディオと同様に根っからの「奪う者」である。
彼は世界を絶対的に支配したいわけではなく、社会の底辺から這い上がり、富を奪い、名声を手に入れることを渇望した。その精神性がスタンドに反映された結果、時間を停止させるというより、自身の周囲の「特定領域の時空座標における主導権を一時的に強制奪取する」という事象として発現していると考えられる。
だからこそ、彼は時を止める際に「俺だけの時間だぜ」と宣言するのだ。時間は止まっているのではなく、その5秒間という時空の連続体を、彼が世界から「ピンポイントで奪い取って独占している」状態なのである。
3. スタンド使い「ディエゴ・ブランドー」の精神性
SBRは一巡前の世界の因縁を持たないが、セルフオマージュの一面を見せる世界である。ディエゴもまた、ディオ・ブランドーと似た境遇に生まれながら、ジョースター家への因縁はなく、母親の深い愛情を受けて育った。石仮面との接触もなく、吸血鬼化もしていない。
彼はジョースターから全てを奪おうとしたのではなく、ただ理不尽な世界から「自らのための富と名声」を奪い取ろうとした。支配者になりたいのではなく、究極の「所有者」になりたかったのだ。その強烈な渇望が、最終的に「世界の時間すら一時的に自分のものとして奪い取る」スタンド能力へと彼を至らしめたのである。
4. 特異な選出理由と、多次元の法則による皮肉な結末
なぜ、ヴァレンタイン大統領は無数にある並行世界の中から「THE WORLDを持つDio」を連れてくることができたのか? これはD4Cの能力の制約から必然的に導き出される。
大統領の目的は「聖なる遺体をアメリカに保管し、栄光をもたらすこと」であった。自分が遺体を使えなくなる可能性が生じた際、私利私欲で動くジョニィよりも、取引(富と名声の提供)に応じるDioの方が都合が良かったのだ。
大統領が次元を移動して生きているDioを探した際、大前提として「D4Cは大統領が生きている世界にしか行けない」というルールがある。基本世界と同様、多くの世界で大統領はDioとホット・パンツのタッグに勝利している。
しかし、ジャイロやジョニィが「騎兵の回転」に到達している並行世界の大統領は、聖なる遺体が存在せずラブトレインを発現できないため、既に敗北して死亡しているはずだ。つまり、大統領が移動できる別次元とは「ジョニィがACT4に到達していない世界」であり、かつ「大統領が生き残っている世界」となる。
その条件の中で、D4Cの猛攻を凌ぎ切り、生存して大統領と対面できたDio。それはすなわち、D4Cに対抗し得る究極のスタンド「THE WORLD」に覚醒したDioしかあり得なかったのである。
しかし、その最期はルーシー・スティールによってもたらされる。彼女が持ち込んだ「基本世界のDioの頭部」との接触である。
並行世界の同一人物(あるいは同一の物質)が同じ世界で出会うと、互いに引き合い「対消滅」を起こす。これはジョジョ宇宙の絶対的な物理法則(メンガー・スポンジ的な崩壊)であり、時を止めようが時空を奪おうが回避不可能な事象であった。
第1部のディオが「首から下を失いながらも、頭部だけで生き延びた」のに対し、第7部のDioは「同一存在の頭部とぶつかり合い、頭部が消滅して敗北する」という、あまりにも皮肉で美しい真逆の結末を迎えたのである。
出典:荒木飛呂彦原作 集英社出版 ジョジョの奇妙な冒険
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