【スタンド考察】D4C-ラブトレイン-徹底考察!「厄災転嫁」の無敵能力とヴァレンタイン大統領の愛国心 ジョジョ7部 スティール・ボール・ラン

D4C-ラブトレイン-/D4C-Love Train-

『ジョジョの奇妙な冒険』第7部「スティール・ボール・ラン」のラスボス、ファニー・ヴァレンタイン大統領。
彼が「聖なる遺体」の全てを手に入れ発現させた現象、「D4C-ラブトレイン-」

その能力は、作中屈指の「無敵」能力であり、「厄災を他人に押し付ける」という恐るべきものだ。

この記事では、D4C-ラブトレイン-の基本情報から、その能力の詳細、そしてヴァレンタイン大統領の真の目的と能力の本質について、深く考察していく。

ファニー・ヴァレンタイン大統領と聖なる遺体によるD4C-ラブトレイン-

  • 破壊力:A
  • スピード:A
  • 射程距離:C
  • 持続力:A
  • 精密動作性:A
  • 成長性:C

D4C-ラブトレイン- とは?

スタンド名: D4C-ラブトレイン- (D4C-Love Train-)

コミックス掲載のD4C-ラブトレイン-解説

本体名: ファニー・ヴァレンタイン(Funny Valentine)

ファニー・ヴァレンタイン大統領

スタンド名の元ネタはアメリカのソウル・トリオ、オージェイズ(The O'Jays)の楽曲『ラヴ・トレイン(Love Train)』。


  • 破壊力:A
  • スピード:A
  • 射程距離:C
  • 持続力:A
  • 精密動作性:A
  • 成長性:C


発現条件:「聖なる遺体」と「ルーシー」との接続

D4C-ラブトレイン-は、ヴァレンタイン大統領のスタンド「D4C (Dirty Deeds Done Dirt Cheap)」が単独で進化したものではない。
アメリカ合衆国第23代大統領ファニー・ヴァレンタインが、「聖なる遺体」の全部位を揃え、さらにその遺体と融合して女神状態となったルーシー・スティールとD4Cが接続することで初めて発現する「現象」である。
分類するとしたら近距離パワー型+能力顕現型スタンド。

この状態になると、ルーシーを中心としてヴァレンタイン大統領との間に「光の溝」(透き間)が出現する。大統領がこの「透き間」に入り込んでいる状態こそが、D4C-ラブトレイン-である。

D4C-ラブトレイン- の無敵の能力

ラブトレインの能力は、「幸運なものだけを残し、不幸なものをこの場所以外の地球のどこかへ吹き飛ばす」。

この「光の溝」は、コーヒーフィルターのように機能し、ヴァレンタイン大統領にとっての「吉良(きちりょう)」(=幸運、良いこと)だけを濾しとり、彼に降りかかる「厄災」(=不幸、ダメージ)を弾き飛ばす。

1. 無敵の防御と「厄災」の転嫁

ラブトレインの最も恐ろしい能力は、その絶対的な防御力である。

  • 攻撃が届かない:
    • 
光のフィルター(溝)の中にいる限り、ヴァレンタイン大統領はいかなる攻撃も受けることはない。作中でも、ジャイロの鉄球やジョニィの「牙(タスク)」による攻撃すら、光の壁に阻まれて大統領に届かなかった。
  • 「厄災」の転嫁:

    • さらに、大統領が受けるはずだったダメージやエネルギーは「厄災」へと変換され、次元を超えて世界のどこかの無関係な誰かに「不幸」として押し付ける。
その結果、友人からの誤射で死亡する、馬車の事故に巻き込まれる、動物園のライオンに食い殺されるといった、理不尽で悲惨な事故が世界中で発生する。
  • 悪趣味な演出:

    • この悲惨な事故の場面は、ラブトレインの光の壁にわざわざ映し出され、「お前の攻撃のせいで無関係な人間が死んだ」とばかりに見せつけるという、精神的にも追い詰めるエグい仕様になっている。
どこかの誰かが不幸をおっかぶる

2. 敵対者への自動反撃

ラブトレインの能力は、大統領を守るだけではありません。大統領に敵対する者は「害悪」と見なされ、自動的に排除される。

ラブトレインの射程内でほんの少しの切り傷を負っただけでも、その「傷」自体が「害悪」として弾かれ、体内を移動し始めます。傷は最終的に重要な動脈や心臓といった致命的な部位に達し、敵対者を死に至らしめるのだ。

害悪を弾き、軽傷も致命傷に

作中でも、ジャイロホット・パンツがこの能力の餌食となった。

3. 空間の引き寄せ(副産物)

ラブトレイン発動中、ルーシーを中心とした周囲の空間は、秒間数十センチほどの勢いでゆっくりと引き寄せられている。

これは「吉良(幸運)」を大統領の元へ呼び寄せる能力の副産物であり、範囲内の生物は異常を感じないまま引き寄せられる。

作中では「クマに注意!」の看板や魚が引き寄せられ、ジョニィたちにぶつかる描写があるが、これも空間の引き寄せが原因である。

D4C-ラブトレイン- の「弱点」と「制約」

無敵に見えるラブトレインにも、いくつかの弱点や制約が存在している。

  • 外への攻撃ができない:

    • 光の帯(フィルター)の中は絶対的な防御空間だが、同時に中から外へ攻撃することもできない。敵を攻撃するためには、ヴァレンタイン大統領は自ら光の帯から身を乗り出し、D4Cで直接攻撃を仕掛ける必要がある。
  • ルーシーから離れられない:

    • ラブトレインは「聖なる遺体」と融合したルーシーを中心として発現する能力である。そのため、大統領はルーシーの射程距離(数十メートル程度)を超えて離れることができない。
  • 次元の壁としての性質:

    • (弱点ではないが)ラブトレインの光の帯はD4Cと接続しているため、「次元の壁」の性質も持っている。これにより、D4Cは無敵状態のまま光の帯(次元の隙間)に潜み、平面の中を移動するように隠れることも可能。
  • 吉良と厄災の本質:
    • ジョジョ7部以降の世界で、大きな流れとして力を持つ「理」の1つが吉良と厄災という力。善でも悪でもなく、正義や浄化でもない。ただ良いことの反対に悪いこともあるという陰陽二元論のような力である。ジョニィの足を動かすわけでも、ホット・パンツの罪を濯ぐわけでもないのだ。
  • 重力からは逃れられない:
    • ラブトレインの理の力も、D4Cの次元エネルギーも重力の影響からは逃れられない。ジョジョ世界はバルク宇宙論の多元宇宙であり、重力子は宇宙を越えて行き来している。ゆえにD4Cは次元移動してもバラバラにならない、と説明されている。つまり、仮に重力に影響するような力があるとすれば、それはラブトレインに届きうるのである。

女神ルーシー

【考察①】能力の正体:「吉凶の濾過」と「大規模等価交換」

D4C-ラブトレイン-の真の能力は、「大陸規模の次元渦の発生による大規模等価交換と、吉凶の濾過」である。

D4Cと「チケット・ゥ・ライド」の融合

ラブトレインは、D4Cの能力と、ルーシーと遺体が融合したスタンド「チケット・ゥ・ライド」(能力:等価交換)が融合し、制御可能になった形態と言える。
まさにスタンド名も、乗車券(チケット・ゥ・ライド)を手に入れ、鉄道に乗車する(ラブトレイン)ことを示唆している。

「聖なる遺体」の本質 =「等価交換」

作中で「イエス様の遺体」と仄めかされる「聖なる遺体」ですが、その本質は「善」や「支配」ではなく、「等価交換」そのものである。

遺体はジョジョの多元宇宙において、一巡前「運命」の力から外れた「理」の力の一部であり、「幸」と「不幸」、「吉良」と「害悪」のバランスをとる天秤のような存在である。

所有者の「願い」を叶えるために「吉良」を引き寄せ、その分の「害悪」を近くの誰かにおっかぶせる。

ラブトレインのメカニズム:次元渦と空間圧縮

では、どうやって「吉良」を集めているのでしょうか?

  1. ヴァレンタイン大統領の「アメリカの繁栄」という遠大な「願い」を叶えるため、遺体は大量の「吉良」を集め始める。
  2. D4Cの「次元間の壁を弱める」能力が遺体のパワーで増幅され、能力の範囲が次元を超えて拡張される。
  3. 半径数キロ圏内の土地が多次元方向に引っ張られ(次元強度が弱化し)、次元が崩れ落ちるように陥没する。
  4. これにより、3次元空間的には土地が収縮する(漏斗状に落ち込むイメージ)。これが、看板などが引き寄せられた「空間収縮」の正体である。


平面が3次元的に歪むと面積が縮小するイメージ

「吉凶の遠心分離」と「厄災の転送」

D4Cの能力で圧縮された空間(土地や物体)は、光のフィルター(ラブトレイン)によって「吉凶の遠心分離」にかけられる。

  • 「吉良(良きもの)」: フィルターを透過し、ヴァレンタイン大統領の元へ集められる。
  • 「害悪」: 遠心力で弾かれ、D4Cの次元エネルギーによって作られた次元の歪み(ワームホール)の奥底へ吹き飛ばされる。

このワームホールの出口は「この世界の遠いどこか」であり、そこに飛び出た「害悪」のエネルギーが、無関係な誰かの「不幸」としておっかぶせられる。

D4Cと遺体が繋がったことで、ただの「等価交換」だった能力が、「不幸を見ず知らずの他者に一方的に押し付ける」という、大統領にとって都合の良い能力へと覚醒したのがD4C-ラブトレイン-なのだ。

D4C-ラブトレイン-

第8部ジョジョリオンにおいて、ジョニィが聖なる遺体を利用するシーンがあるが、この際に「等価交換」は非常に距離の近い人物にのみ起きている。
やはり、遠くの誰かにおっ被せるのはD4Cの能力があってこそなのだ。

【考察②】ヴァレンタインの「願い」と集めた「幸運」の行方

ヴァレンタイン大統領の行動原理は、一貫して「愛国心」であり、「アメリカ合衆国の国民の平和」の成就である。

SBRレースに隠された真の目的

大統領は、遺体をめぐって内戦や諸外国との戦争が勃発する可能性を予測していた。

そこで、最も犠牲が少なく、かつ自然な形で遺体を集める方法として、スティール・ボール・ランレースを計画・開催することを決めた。

これは南北戦争後というまだ混乱期のアメリカにおいて、各州や人種、部族間での摩擦を避けるための施策である。

さらにブラックモアの例にもあるように、信頼ある部下ですら裏切る可能性があるのが聖なる遺体。
だったら最初からいなくなっても構わない人物に集めさせるのが、周りとの摩擦もなくて良い。
幸い、アリマタヤのヨセフの地図により、大まかな遺体の位置はわかっている。

そんな前提から、レースという名目でスタンド使いたちをアメリカ大陸横断コースに誘導し、彼らに遺体を集めさせ、最終的に総取りするという壮大なロードマップを描いていたのである。

「生贄」の覚悟

この計画は当然、争いや死者を伴います。しかし大統領は「求めるものが大きいほど試練がつきもの」として、全体の幸福のために「生贄」が出ることも(自分自身が倒される可能性も含め)織り込み済みだった。

集められた「吉良(幸運)」はどこへ?

ラブトレインによって集められた大量の「吉良(幸運)」は、どこへ行ったのか?
作中で大統領が幸運に恵まれる描写は特になかった。

しかし、大統領が倒された後、ラブトレインによって引きずり込まれたフィラデルフィアの一部地域はやや狭くなり、その分「幸福」が集まったとされている。


この「幸福」は、大統領の当初の願い通り、「アメリカの繁栄」に使われたのではないだろうか。

第7部当時のアメリカはまだ現代ほどの一強ではなく、ヨーロッパとも覇権を争っていた。
そのアメリカがその後100年以上にわたる繁栄を手に入れたのは、ラブトレインが発動し、集められた「吉良」がアメリカ全土に影響を与えたからかもしれない。

まとめ:ラブトレインとヴァレンタインの「正義」

D4C-ラブトレイン-は、ファニー・ヴァレンタイン大統領の「アメリカ国民の幸福」という遠大な「願い」を、「不幸を他者に押し付ける」という形で実現する、究極の愛国心スタンドであった。

その方法は多くの犠牲を強いる非情なものでしたが、自らの命すら「生贄」として差し出す覚悟を持っていたヴァレンタイン大統領は、彼なりの揺るぎない「正義」と「黄金の精神」の持ち主であったと言える。



出典:荒木飛呂彦原作 集英社出版 ジョジョの奇妙な冒険

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